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会社法解説「定款自治の拡大」

 新会社法では、これまでより定款(会社の目的、組織、業務などに関する基本的なルール)の自由度が高くなります。「定款自治の拡大」です。以下に、株式譲渡制限のある会社(以下「株式譲渡制限会社といいます」)の場合の、定款で定められる事項を一部紹介します。

 ①取締役や監査役の任期を、それぞれの原則2年・4年から最長10年まで伸ばすことができます。親族のみで経営されている会社などの場合、そもそも役員の信任を問う必要性も少なく、役員変更登記の費用を節約することができます。ただし一方で、任期を長くすると、トラブルが生じた役員を排除しにくくなったり、正当理由なく解任すると損害賠償を請求されたりする場合があるので注意が必要です。

 ②剰余金(従前の配当金)の配当や議決権の行使について株主の権利を個別に決めることができるようになります。たとえば、「株主Aさんの配当につき他の株主の2倍とする」というような定めも可能です。また、事業承継を考えている経営者の方で、複数いる相続人(たとえばA、B、C)の内の1人Aを後継者にしたい場合、相続によって株式が分散しますが、B及びCに相続される株式について議決権を制限し、支配権をAのみに承継することが可能となります。

 ③取締役の資格を株主に限ると定めることもできます。取締役には、株主以外の人間が入ってきてほしくない場合の方策として活用できます。

 ④相続などの一般承継で会社にとって好ましくない者が株主となってしまった場合、その者に対し、会社から「その株式を会社に売り渡してください」と請求することができます。これは、実務界の強い要請を受けて制定されました。

 新会社法の施行は5月の初旬の予定です。これを機会に、自社に合った定款の見直しを検討されてみてはいかがでしょうか?

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