有限会社がなくなる!?
会社のあり方について、体系的かつ抜本的な見直しを図る「会社法制の現代化に関する要綱案」が平成17年6月29日成立しました。新会社法です。
今回の改正は、最低資本金制度の撤廃、取締役会や監査役などの機関設計の多様化、合同会社の創設、取締役の任期延長などが主な内容となっていますが、特に重要なのが、株式会社と有限会社を統一することです。
新会社法では、現行の株式会社と有限会社は統合されて、株式会社に一本化されます。新会社法施行後は、新しく有限会社を設立することはできません。一方、株式の譲渡制限規定のある株式会社について、①取締役会を設けない ②監査役を設けない ③剰余金分配・議決権等について株主ごとに異なる定めができる など従来の有限会社において認められていたことを、定款で定められるようになります。
この見直しは、旧商法では株式公開を前提としていたにもかかわらず、ほとんどの会社が小規模・非公開である実態に、法規制を適合させようとする試みなのです。
では、既存の有限会社はどうなるのでしょうか?
有限会社法は廃止されますが、既存の有限会社は、新会社法の下の「株式会社」として存続します。「有限会社○○」という名の株式会社です。(「特例有限会社」いう。)
そして旧有限会社の社員、持分、出資一口は、それぞれ株式会社の株主、株式、一株とみなされます。ただ、①商号中に「有限会社」の文字を使用する ②役員の任期規定を置かない ③決算公告義務がないこと といった従来の有限会社のみに認められていた規定も引き続き経過措置として認められます。
もちろん、商号を変更して、既存の有限会社が株式会社へ移行することもできます。この場合、有限会社の規定は維持できず、新会社法の全面的な適用を受けることになります。「株式会社」の文字を使いたいか、従来の有限会社の規定を維持したいか、が移行を選択するポイントになりそうです。