古い抵当権どうすればいい?
随分と古い抵当権のことを「休眠担保権」と呼びます。
「休んで眠る担保権」という文字のとおり、ずっと長い間抹消されないまま登記簿上に残っている抵当権等の登記の事です。
通常、借入をしてその不動産に抵当権をつけていた場合、ローンが完済出来ると、抵当権の抹消登記を当事者(所有者と抵当権者)より申請することになります。ところが、この手続きを失念し、長い間放ったままにしておくと、抵当権はいつまでも残ったままになります。
今更抹消登記をしようとしても、完済時から随分経ってしまっているので、完済時の書類がなくなったり、再発行をしてもらおうと思っても当該金融機関がつぶれてしまっていたりする事があります。また、抵当権者が個人の貸主であると、その人が一体何者であるのかわからず、事情を聞こうにも借金を払い終わった当時の不動産所有者が亡くなってしまっていたり、不動産の所有が転々移転したものである場合は、そのあたりの事情はますますわからなくなってきます。
このような場合、現在の所有者は一体どうしたら良いのでしょうか?見ず知らずの当時の抵当権者(その人が死亡している様ならその相続人)を探し出して協力を求めなければならないのでしょうか。そうなると手続きは大変です。
そこで、このような抵当権者の行方がわからない「休眠担保」の場合は一定の手順を踏めば、所有者単独でも抹消登記申請を可能にしようという制度があります。
抵当権抹消の登記申請というのは本来は、抵当権者と不動産所有者が共同して申請しなければなりません。抵当権者側が協力できない場合は、単独で申請せざるを得ません。その場合は、裁判上の手続きをとるという方法もあるのですが、もっと簡便な方法がこの「抵当権者行方不明の休眠担保の抹消」です。
手続きとしては、以下の3点を証明します。
①抵当権者の行方不明
②借金の弁済期から20年の経過
③借金の元本・利息・遅延損害金の全額を供託した事
供託とは、法務局に現金を支払うことです。昔の抵当権の債権額は非常に金額が小さい場合が多く、全額でも1万円足らずという事もあります。
自分の所有する不動産になにやら古い抵当権が残っているけれど、どうしよう・・・、という方は、一度司法書士に相談されてはいかがでしょう。