新しい司法書士
平成15年4月1日、改正司法書士法が施行されます。
改正のメインは、何といっても「簡易裁判所の代理権付与」です。
民事裁判は、本人もしくは本人から委任を受けた弁護士しか行うことができませんでしたが、司法をもっと国民の下に、という趣旨の司法制度改革の一環として、簡易裁判所に限り司法書士も代理人になれるようになりました。
これまでも「裁判所に提出する書類作成」は司法書士の業務でしたが、法廷で本人の代わりに発言することはできませんでした。それは弁護士に限られていたのです。(「代書人」と「代言人」です)
ただ、司法書士であればだれでも代理人になれるわけではなく、これから始まる「特別研修」を受講し、さらに「認定試験」に合格した司法書士に限ります。代理権を持った司法書士第1号が誕生するのは、6月以降の予定です。業界では「資格内資格」だと批判の声もありますが、これまで裁判事務に励んできた先輩たちの功績と素直に喜びたいものです。
簡易裁判所では、現在は「請求額が90万円まで」の訴えを取り扱っています。が、今国会の法律改正で「140万円まで」引き上げられそうです。また、裁判で勝訴した後、差押などをする「執行手続」も、従来簡易裁判所の上部組織である地方裁判所しか扱っていませんでしたが、少額訴訟(これも現在の30万円から60万円に引き上げられる予定)については簡易裁判所で取り扱われることが検討されています。
これまで「わざわざ裁判をしても費用倒れに終わっちゃうよなー」と、泣き寝入りに終わっていたような法的トラブルの解決に、司法書士がますますお役に立てることになったわけです。
司法書士法のその他の改正点は、①法人化が可能になった(弁護士などは先行しています)②懲戒制度が整備された(国民一般から懲戒を求めることができます)③報酬基準がなくなった、などが挙げられます。
法律の改正はすなわち社会の要請・期待と、我々みんな気を引き締めています。
「新しい司法書士」をどしどし利用し、そしてどしどし鍛えていただきたい、とお願いする次第です。