会社目的と商品カタログの違い
会社設立や目的の変更のご依頼をいただくと、時にタイトルの通り「会社目的と商品カタログの違い」をご説明する必要を感じる場合があります。
皆さん、ご自分がこれから手掛けようとする事業の特長・優位性を、登記上の会社の目的においても表現したいとお考えになります。そうすると往々にして、例えば「△△の技術により××を利用した○○の製造、販売」などと、やや冗長な表現になりがちです。
しかしながら、このような表現は依頼人にとって利益になるとは考えられないのです。
会社の目的を検討する際には、“類似商号”の調査をしなくてはなりません。“類似商号”とは、同一の市町村(大阪市の場合は区単位)内に同一の事業目的を持つ、類似した商号の会社は存在できないというルールです。(平成18年5月1日施行の会社法により「類似商号」の概念はなくなりました)
すなわち「目的」との組み合わせで、その地域でのその会社の商号を守るのです。後から、他の会社が、その会社が守っている商号の範囲に入ってくることはできません。
例えば大阪市中央区で商号は「ブティックホミック」目的は「婦人服の販売」という会社と、同じく「ブティックホミック」という商号で「フランス人のデザインによるシルク製の婦人服の販売」という目的の会社では、どちらが商号の範囲は広いでしょうか?一目瞭然、前者ですよね。後者の場合だと、同じ商号で「ポリエステル製の婦人服の販売」という目的の会社が、後から出現する可能性もあるでしょう。
というわけで、登記での目的において色々と説明を加えたいお気持ちはわかるのですが、できるだけシンプルな表現をお薦めしています。それに、将来「イタリア人のデザインによる婦人服」を販売したくなったときに、目的変更をせずに済みますし。
どうか、技術のすばらしさや会社の意気込みなどは登記の目的で表現するのではなく、商品カタログや会社案内で訴えかけるようになさってください。
但し、シンプルな表現が不可能で否応なく説明調の表現になってしまう場合もあります。ご了解下さい。