資本金1円の会社設立
平成15年2月1日より、わずかな資本金で会社を設立できる制度が始まりました。
株式会社は1000万円、有限会社は300万円が最低資本金ですが、この条件を設立後5年間に限り免除するという特例です。(平成18年5月1日の会社法施行に伴いこの特例は廃止されました)
要件はただ一つ、「創業者」であること。
「創業者」とは、事業を営んでいない個人、すなわちサラリーマン、主婦、学生、失業者、代表権のない会社役員、事業を廃止した者などです。現在、個人事業主の方が「法人成り」する場合は該当しません。
この特例を受けた場合に生ずる義務は次の通りです。
①会社成立後、経済産業局へ会社謄本等を届け出る。これらは公衆の縦覧に供されます。(誰でも見れるということです。)
②配当可能利益が制限される。
③決算後、毎年計算書類を経済産業局に届け出る。このうち貸借対照表は縦覧されます。
④5年以内に最低資本金を満たす。それができない場合は、組織変更あるいは解散をしなければなりません。
手順はこうなります。
①定款認証 → ②「創業者」であることの確認を受ける → ③2ヶ月以内に設立登記 → ④5年経てば特例は終了
「創業者」であることの確認を受けるためには、源泉徴収票の写し(給与所得の証明)、健康保険証の写し(扶養されていることがわかる)、雇用保険受給者証の写しなどを添付して、管轄の経済産業局に申請します。
この特例を受けると、銀行の払込金保管証明書を取得する手間を省いて、もっと簡便な方法に代えることができますし、現物出資についても株式会社は200万円、有限会社は60万円まで検査役調査が不要となります。何かとコスト軽減を図ってくれているわけです。
債権者保護のために義務をいくつか課しながら、最低資本金の規制は緩めて、意欲のある方々にどんどん起業してもらおう!ということです。但し、5年間だけですからご注意下さい。5年後に最低資本金に達していなければ、合資・合名会社に組織変更するか、解散するか、あるいは株式は無理だけど有限になら、と組織変更するか、道を選ばなくてはなりません。
定款作成や登記事項にいくつか注意点がありますので、この特例利用の際はぜひ司法書士にご相談下さい。