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「任意後見」と「法定後見」

 成年後見制度には、二つのシステムがあるとご紹介しました。「任意後見」と、もう一つは「法定後見」です。

 両者の違いを大雑把に比較すると、このような感じです。

導入時期 後見人は誰? 後見人の権限
任意後見 元気なうちに 自分で決められる 自分で決められる
法定後見 判断能力が衰えた後 家庭裁判所が決定 法律で決まっている


 つまり「法定後見」は認知症などが始まってしまった後、必要に迫られて利用するシステムで、その内容は法律で大方決められている、一方「任意後見」はいずれ来る老いのために判断能力のある間に、自分らしいオーダーメイドの仕組みを用意しておく、とお考え下さい。

 法定後見を利用されるケースは、例えば
 ・判断能力の衰えた親の自宅を売って、施設入所の費用に充てたいが、親本人では有効な売買契約が結べない。
 ・一人暮らしの老人が、頼まれるままに不要な家庭用品などを買ってしまい、財産を減らしている。
 ・金銭管理のできなくなった親の通帳などを預かっているが、他の兄弟から疑われている。
などの場合があげられます。

 いずれも急を要することが多いのですが、法定後見人選任を家庭裁判所に申し立ててから、選任の審判が下りるまで、約1~2ヶ月かかっています。しかしながら、成年後見の前の制度である「禁治産」の後見人の審判にはおよそ1年が必要だったのですから、随分とスピードアップして使いやすい制度になったと言えるでしょう。大阪家庭裁判所では法定後見の申立が増えており、猛烈に忙しい!と窓口の方がおっしゃっていました。

 法定後見は、判断能力が衰え弱者となってしまったお年寄りを守る意味で、重要な役割を果たしています。
 が、まだまだ元気な間に老いてからの自分の人生をデザインしておくには、任意後見契約が必要なのです。

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